|
||
────────────────── 第1回 奥庭で思ったこと ────────────────── 富士山の奥庭に行ってきました。 今回の奥庭行きは、ホシガラスの録音が目的です。カラマツやコメツガの上を、ホシガラスが咽袋を膨らませて忙しそうに飛び交っていました。どうやら、冬に向けて貯食をしているようです。さかんに「ガ、ガ、ガ」と鳴くのは、なわばり宣言なのでしょうか。冬も貯食場所のあるなわばりを守り続けるために鳴いているのでしょう。おかげで思う存分、観察し録音することができました。 宿は、もちろん奥庭荘に泊まりました。季節はずれの平日のため、カミさんと私だけで貸し切り状態、さらにたーぼ♪さんのお名前を出したら素性がわかってくれたらしく、より歓待していただきました。そして、奥庭荘のご主人といろいろ話す機会がありました。 ご存知のように、奥庭荘の横には水場があり、そこに来る小鳥たちを目当てに多くのカメラマンが集まります。この水場の制作には、友人の野鳥カメラマン、堀田明さんがアドバイスをしています。そのため、写真を撮るために最適のロケーションとなっています。 泊まり客は私たちだけでしたが、それでも日が昇り明るくなると10台ほどのカメラが並びました。ご主人の話では、先週末は60人。多いときは、水場の前でカメラマンでひしめき合うとのことでした。そのため、朝礼をしていくつかのルールを徹底させているそうです。禁煙はもとより荷物の置き方まで。そして、鳥を驚かさないようにして皆で楽しんで欲しいという主旨を話します。「客商売だが1人の困った客さんの迷惑で多くのお客さんが来なくなる方がこまる、ルールを守れない人はレッドカード、即刻退場していただく」という言葉は、印象に残りました。 私がいたときも、イヌを抱いた初老の夫婦が写真を撮りに来ました。他のカメラマンがまだいないときでしたが、ご主人は丁重に断っていました。女性のほうが「このイヌは歩けないの・・・」と、不満そうでした。イヌが鳥を捕るということを心配しているのでなく、イヌがいると鳥が来ない可能性があることがわからないバードウォッチャーがいるのですから、ご主人の苦労は想像に難くありません。 そのためでしょうか、来訪者の多くの方が「おじゃまさせていだきまーす」と一声かけて、水場に向かいます。当日は、10人くらいですから静かにゆずりあっての撮影風景、のどかなものでした。しかし、これが100人ともなると聞くと、主人の強硬なルールの徹底がなければコントロールできないことになります。 「奥庭」と「野鳥」などのキーワードでブログを検索してみると、カメラマンの三脚の置き方とおしゃべりがうるさいという苦言が1件あったのみ。多くは、きれいに撮れた写真に満足しているようでした。幸いにして主人の苦労は、報われているいるようです。 私のスタンスとしては、集団で撮影するのは好みではないし、同じ枝にとまっている写真がどこかにあるかと思うとあまり撮る気はしません。また、本来そこにはない水があることで、鳥が水場に依存し、本来とは異なる生活をしている可能性があることも懸念します。 しかし、各地で同様にカメラマンが集中しているなか、奥庭荘の事例はいろいろ考えさせられることがありました。 なお、今回の奥庭行きでは、POUさんにいろいろ情報をいただきました。お礼申し上げます。 |