希望小売価格(税込)¥241,500
※2009年3月発売(国内)
対物レンズ有効径 65mm
全長:305mm   重量:995g
 
SWAROVSKI STM65HD 製品情報(メーカーHP)こちらへ⇒⇒
最近の市場動向でSWAROVSKIが非常に気になっています。
今年の3月に新スコープの発表と大幅値下げで憧れのスコープが更に身近になりました。
すでに発売されて3ヶ月程になるがこのスコープがただのマイナーチェンジではないらしい…。
という巷での噂を耳にし今回はこのSTMシリーズのレポートをしたいと思います。

リニューアルされたポイント
 ◎ボディがマグネシウム合金に進化した軽量で高性能、高精密なフィ−ルドスコープ
 ◎ラバー外装は外部からの衝撃から精密構造を守り、音に対しても控え目
 ◎コーティングはさらに進化をしてSWAROCLEANとなり投入。
STSを踏襲し新たに剛性UPを図った次世代マグネシウムボディ
 
見た目はドラムリングとフードの色が変わっただけでSTSシリーズと比べても何も変わってないように見受けられます。何も変わっていないけど何かが変わってるというのがこのスコープの魅力なのかも知れません。
ボディ本体にはマグネシウムを採用し、STSよりも更に軽量で頑丈になっております。
  長さ 重さ
STM65HD 305mm 995g
STS65HD 305mm 1110g
素早いピント合わせが可能なドラムリング
  ピントリングは非常に軽快で最短から無限遠まで2回転
少し回転数はありますが、ドラムリングの軽さであまり気になりません。
余談ですがSTMシリーズではドラムリングがボディと同色になり、若干判り辛い時があります。野鳥の前後に大きく良く動く場面では少し撮影はしにくいかもしれません。
スコープの向きを自在に変更できる三脚マウント
 
接眼部から見て左側面側にあるネジを緩めると三脚マウントが移動します。
ジンバル使用時でもスコープを正立する事ができ、横向きの撮影に違和感があると感じられる方にも安心して使用できる便利なマウントとなっています。
従来の豊富な接眼レンズ群が使用できるバヨネット
  STMシリーズの互換性はニコンのEDGシリーズと同じく従来の接眼レンズをそのままご利用頂けます。
従来型(STS)シリーズのバヨネットをそのまま使用しています。
接眼レンズは20倍、30倍、45倍、20-60倍ズームの4種類があります
  単焦点レンズもツボを押さえたラインナップで、デジスコ撮影の結果も素晴らしいものです。
更に、ズームアイピースもケラレや周辺減光で使いにくい面もありますが、画質は他メーカーのズームと比べてもかなり綺麗に解像をしてくれます。
常用に単焦点を1本と観察、撮影用にズームアイピースを1本持つとかなり便利です。
全てをテストするには時間が足りず今回のレポートでは色合いのみのテストとなりました。
(全種、カメラ設定、倍率などをほぼ同一とし、設定も全てAUTO)

色合いはカラーチャートで見る限りはそれぞれに特徴よく出ています。
STM65HDは青の階調が豊かで全体的にコントラストの高い画像になっております
スワロフスキーTSTM65HD
ニコンEDIII
コーワTSN-604
コーワTSN-664
発売されてから3ヶ月程冒頭でも書いたのですが妙にSWAROVSKIのお問い合わせが増えていました。とある機会に丁度STMユーザーの方から写真を見せて頂ける事が出来、驚きました。そこにあるのは私の知っているSWAROVSKIの画像とはまったく違ったものだったからです。途端に興味が出ていつかこのスコープで撮ってみたいと思うようになりました。今回ご厚意でSTM65HDに触れる事ができ非常に嬉しい限りです。
 
1.撮影時の感想
久しぶりに触った65mm径…初心者の方や重いシステムは苦手だという方にはこの重量は非常に有利な点だと思います。私も普段は大口径の82mmや88mmといったスコープを使う事が多いので、まずこの軽さにビックリしました。他メーカーの同じ口径のものと比べても軽く感じるかも知れません。(実際に本体重量のみでは65mm口径では最軽量でした。)本体のデザインもコンパクトですから見た目の印象でも軽く見えます。
肝心要の撮影はというと65mm口径と被写界深度のせいか、ピントの山も掴みやすくサクサクと撮影が出来ました。野鳥の目から多少ピントがずれていてもある程度許容して解像しますので、構図決定や鳥と背景バランスも落ち着いて合わせる事が出来ます。
敢えて苦言を出すとしたらドラムリングの回転数ですね。小さいノブ式ならあまり気にならないのですが、この少し大きいドラムリングでは場面によっては、最短から無限遠までは約2回転でピントが大きく外れた時、合わせ直すのに苦労します。ですが、ドラムリングが軽く回りますのでサクサクとピント合わせはできます。前述に挙げたケースはかなり特殊な条件下と思ってください。
さて、肝心な画質面での特長ですが、まず驚いたのがどの倍率を使ってもほとんど色収差が出てこないのです。比較的色収差のでやすい20倍でも目立つ収差はほとんどなく、驚かされました。色味はSWARO独特の青味(シアン)がちょっと強い傾向があるのですが、ホワイトバランス等である程度抑えられますので気にはなりません。また、ズームアイピースも使える倍率はさほど多くはないのですが、カメラのズームでケラレ調整をうまくすればかなり使えるレンズです。ただし、レンズの枚数が多い為、色収差も単焦点と比べると多少出てしまいます。

コントラストも高くボケ味も美しく出ますので派手な写真が好きな人にオススメですね。
 
2.作例
   

作例撮影機材
スコープ SWROVISKI STM65HD
アイピース SWROVISKI  20XSW
撮影キット デジスコドットコム BR-W300
カメラ SONY Cyber-shot W300

作例撮影機材
スコープ SWROVISKI STM65HD
アイピース SWROVISKI  30XSW
撮影キット デジスコドットコム BR-W300
カメラ SONY Cyber-shot W300
   

作例撮影機材
スコープ SWROVISKI STM65HD
アイピース SWROVISKI  45XSW
撮影キット デジスコドットコム BR-W300
カメラ SONY Cyber-shot W300

作例撮影機材
スコープ SWROVISKI STM65HD
アイピース SWROVISKI  20-60X S ズーム
撮影キット デジスコドットコム BR-W300
カメラ SONY Cyber-shot W300
STSシリーズは以前から撮影する機会があり何度か使用した事もありました。しかし、ライバル達と比べるといまいちしっかりくる使用感ではありませんでした。それは色収差の問題だったり、周辺の歪みだったりといった所だったのですが、今回このSTMで撮影して自信のある画像を確認してみると収差もない歪みもないで驚きの連続でした。お恥ずかしい話ですがデザインにも大きく変更もなく、光学部分もさほど変えていないだろうと決め付けていったものですから、撮影後パソコンで確認して本当に驚いたのです。
また、昔のアイピースを使えるのもポイントが高いですね。65mmという中口径のスコープで今回試写で約650枚撮影して、いい物が全体の20%程ありましたので成功率も非常に高いです。青味が強いという所は好みが強く分かれるかもしれませんが、コントラストも高めでメリハリのある画像が好きな方にはたまらないと思います。高価な買い物にはなりますが所有欲を満たすのと同時に、素晴らしい画質をこのスコープは提供してくれるでしょう。

■ スワロフスキー http://www.swaro-optik.jp/
■ 株式会社デジスコドットコム http://www.turboadapter.com/

2009年7月30日 DIGISCO.COM 楠元(くすもと)